アマチュアトランペッターのつぶやきfromアメリカ

アメリカ在住時に音楽活動経験をした日本人アマチュアトランペッターが、日米の音楽活動を通して見聞きしたことをいろいろ綴ってみます。

Memorial Dayの記念式典

今回のブログは戦争という重いテーマを扱いますので先に宣言しておきます。

今日は所属したバンドの活動の一環として、アメリカのMemorial Dayの記念式典で演奏をしてきた。これは、日本人である私にとっていろいろな意味のあることであった。

Memorial Dayとは、戦没将兵追悼記念日のことである。当然第二次世界大戦の戦没者も対象である。そこで当時の敵国、そして敗戦国でもある日本から来た、日本人の私が式典に参加するのは、単純な演奏のためとはとても言いきれなかった。うまく書けるか自信はないが、経験したこと、見聞きしたこと、思ったこと、を以下につづる。

・こういう式典に参加する可能性を最初から想定して今のバンド(日本で言う吹奏楽団)に入ったわけではない。バンドに入った後に、この国におけるバンドとは軍楽隊の流れを色濃く反映する活動だということを後付で認識、実感したのが正直な経緯である。(バンドで演奏する曲の多くアメリカの曲、しかも愛国の意味の強い曲だったので。)

・私は大東亜戦争の遺族でもあり、アメリカで軍や戦争にかかわるイベントに参加することについて、よいのかどうか、当然いろいろと考えた。答えは意外と簡単に出た。戦争は終わって何十年もたっている。参加できない理由はない。少なくとも私個人として、日米にかかわらず自国を守るために命をかけて戦ったすべたの方々への尊敬の念をもって参加すれば、何も自身の信条や気持ちに反するものはない。かの大戦で亡くなった祖父に恥じるところもまったくない。なお、私の祖母も米軍関連の式典には敬意をもって参加されたことがある。

・バンド仲間のアメリカ人は、私に何も言ってこなかった。気を遣った方もいるだろう。あるいは、小さいころからやっている「普通のこと」、「善いこと」だから、それ以上何も深く考えない、というスタンスの方もいらっしゃったかもしれない。パートトップのWさんは、式典の後、いつものコンサートと同じように、「nice job!」という言葉をかけてくださった。

・式典に参加された地元の方々からは、バンドの演奏に対して大きな拍手と感謝の言葉をいただいた。特に年老いた方々は、式典の後に指揮者のところに歩み寄り、何度も、何度もお礼を言われていた。純粋な心でこうした式典に臨まれていることがよくわかった。アメリカ人の善い側面を反映していると感じた。

・信教の自由を保障しているアメリカであるが、式典はキリスト教にのっとって行われていた。今さらであるがアメリカはキリスト教国家であることを再認識した。

・マイクテストを兼ねて、式典開始の前に国歌の一部分を演奏した時、すでに会場に入っていたお客さん全員が、本番と勘違いして、あせって起立された。あの、普段はカジュアルの極みであるアメリカ人が、である。それだけ国歌の尊厳は崇高なものである。

・行進曲、星条旗よ永遠なれ、では、こうした式典でもトランペットは最後にStandingで演奏した。日本人からみると、Standingなんでチャラチャラしていると思ったが、アメリカ人は敬意をこめてのStandingという位置づけが可能なのだ、ということを知った。

・陸・海・空軍、海兵隊、沿岸警備隊のテーマ行進曲をそれぞれ演奏した時、自身の家族が所属した部隊の曲のときには起立するという約束になっていたが、これは観客のみでなく、バンドメンバーも実行していた。へー、と思ったのは、厳かにじっと立っていなければならないという私の認識と反し、ちゃんと立ちながら演奏もしていた。これはアメリカではまったく失礼にあたらない、むしろ当然の行動のようだった。これも日本人との感覚の違いだと思った。

・まだ10代であろう兵隊さんが、式典の中での献花、旗を持った行進などを立派に務められていた。年老いた退役軍人の方が、非常に落ち着いたゆっくりとした動きで、しかしとても見事な敬礼をされていた。最近の戦争で亡くなられた地元の兵隊さんたちの名前を一人一人読み上げられ、黙とうされた。老若男女、全員がとても厳かに参加された式典であった。

・退役軍人のお一人が、かつてお父様から聞かれた話として、ヨーロッパ戦線で、敵兵であるドイツ兵に食事をもらった上に助けてもらった話を披露された。戦争は敵味方殺しあうという単純なものではない。こうした話を後世に語り継ぎ、戦争から日々学び、よい世界をつくっていくべきである、というお話が印象的であった。

・これらを式典の様子を観察して気付いたことは、普段の生活の中でこういう真摯な気持ち・態度で戦争という現実に向き合う瞬間が、今の日本・日本人にはまったくと言っていいほどないという現状であった。

・アメリカがそのようにしたのだ、という方もいらっしゃるだろう。おおむね事実であろう。大戦終了後、日本が再度アメリカの脅威とならないよう、国威発揚につながるような活動・教育は徹底的に排除された。だが、今改めて日本人として、一度強制的になくされた愛国心、誇り、強さを取り戻すことが今の日本には必要だと思う。極右がやるような歪んだ愛国、排外ではなく、もっと純粋に、みんなが日本を愛し、守り、英霊に感謝し、正義をもって、しかし戦争はせずに、世界平和に貢献できる強い国になれるよう、一人ひとりが考えられる機会をもっと作らねばならないと思った。それが散って行かれた英霊に報いる最善の方法である。

・こういうことを考え、感じる機会を作ってくれた音楽、仲間、アメリカ、そして日本という国に改めて感謝したい。

・最後に、こうした式典で演奏する私をみた家内の感想。「どこかの日系三世みたいだったよ。」家内の感想はまったく悪気のないもので、失礼のない態度で演奏できてました、というほめ言葉ではある。が、いやいや、日本人だから。アメリカ人ぶって演奏したわけではないから。
  1. 2013/05/27(月) 20:29:39|
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アメリカ在住経験のある、日本在住の会社員。アマチュアトランペッター。トランペット歴は小学校6年生にはじめて以降、吹奏楽、オーケストラ、金管アンサンブルを経験。

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